落ちないボトムハンガー 新タヤクリップ

パンツが滑り落ちないクリップ-落ちる力を挟む力に変換

タヤクリップ 新機能とシンデザイン

タヤクリップーデータ
素材 スチール/ゴム質樹脂
形状 Y字型滑り止め
寸法(mm) 横幅:
色:滑り止め グレーのみ
色:クリップ 右画像はクローム

 

  1. 国内特許取得商品
    • 日本:特許番号 3878961号
  2. 海外特許申請中
    • 中国・アメリカ・EU・ロシア
滑り落ちないクリップ

タヤクリップ:3つの特徴

  1. デザイン・シルエットのアピール
    • ハンガーでのディスプレイが困難であったデニム・ジーンズなどの重衣料の展示がピンチハンガーで可能に!!
  2. 生地にやさしい
    • 従来のクリップよりも弱いバネの力で3倍近い保持力を発揮。突発的な負荷が衣料にかかった場合のみ、強い挟みこむ力がクリップに発生
  3. 経費削減
    • 棚置き衣料のたたみ直し作業が、ハンガーでディスプレイすることにより無くなります

つかむ力が向上するメカニズム

タヤクリップの滑り落ち防止メカニズム説明画像:滑らないクリップ

背景技術

 衣類はハンガーに設けられたクリップ(ピンチ)に挟まれた状態で展示されたり運搬されたりしていますが、現行のハンガーでは衣類がハンガーから滑り落ちてしまう事が多々発生しています。この衣類の滑り落ちを防止する対策としては次の2点の機能向上が考えられていました。

  1. 衣類を挟み込む力を強くする。→クリップ(ピンチ)が備えるバネなどの弾性部材の弾性力を向上させバネの力を強くする。
  2. 衣類とクリップが接する面積を増やして摩擦力を向上させる。→滑り止め部分の部材を大きくする。

しかし、①の結果クリップの開閉が硬くなり衣類をはずしにくくなる事となり、また強い力が衣類にかかる為、クリップの後が衣類に残ってしまう弊害が発生します。②の場合、滑り止め部材の大きさを大きくすることによりクリップ自体の大きさを大きくせざる得なくなり、衣類を展示した際ハンガーのに見た目がごつくなり、衣類のイメージを壊してしまう結果となります。

●タヤが出した結論

クリップに挟まれた衣類が滑り落ちようとクリップから外れる方向に引っ張られた場合に、クリップの挟む力が強くなるクリップを開発することとなりました。

タヤクリップ使用方法

クリップを開く Y字滑り止めをパンツに差し込む 完了
  1. 通常のピンチハンガーと同様にクリップを開く
  2. タヤクリップの特徴である真ん中のすべり止めをパンツの中に差し込む (ここがタヤクリップの機能を発揮するポイント)
  3. 以上で装着完了

力学的バランス

モーメントの基礎的現象(図1~3参照)

モーメントの基礎的現象 図1,2,3 細長い矩形のバーが自由空間に存在しているとする。バーの中心に支点Pを設け、バーはこの固定した支点Pを中心に自由に回転できるものとする。(図1)。次に、バーの左端を力点Kとする。今、力点Kと支点Pを結ぶ直線を考え、a-a’とする。このa-a’によって上下2つに分けられた領域ができる。上側をCゾーン(右上りハッチ領域)、下側をUゾーン(右下がりハッチ領域)と名づける。初期状態では、このバーは静止しているものとする。いま、図2のように力点Kに力Fを力点KからCゾーン内に向かうようにかけるものとする。図中に示されるように、力Fがいかなる方向を向いていても、Cゾーンに向かう方向でさえあれば、静止していたバーは支点Pの回りを時計回りに回転し始める。回転を始めさせないためには、作用点Aに図のような向きに力Rをかけてやらなければならない。一方、図3に示すように、力点Kにおける力FがUゾーンに向かう向きにかかる場合には、バーは反時計回りに回転を始める。これを阻止するには、作用点Aに、図2と逆向きで同一の大きさの力をかけてやらなければならない。このように、一般的物理現象として、支点と力点を通る直線によって分けられる2つのゾーンを考えることによって、力点における力の向きがいずれのゾーンに向かっているのかを知れば、その物体が支点の回りにどちら向きに回転するのかを一義的に示すことができる。

T字型物体に発生する現象(図4~8参照)

T字型物体に発生する現象 図4,5 矩形の代わりに、T字型の物体を考える(図4)。1.と同様の原理で、支点Pと力点Kを設け、2つの点を延長した直線をa-aとする。このとき、a-aの右上部分がCゾーン、左下がUゾーンとなる。ここで、力点Kに力Fをかける。力の向きは力の延長線が支点Pの上側を通るように、かけるものとする。図に示されるように、力FはCゾーンに向かう力であるから、このT字型物体は時計回りに回転を始めることになる。しかし図5に示すように、このT字型物体を対称な位置に全く同条件でもう一つ設け、同一の力Fを対称位置の力点にかけることによって、回転を抑えることができる。このとき、作用点Aには2つのT字型物体が互いに及ぼしあう力Rが発生する。この力Rは明らかにT字型物体が押し合う力である。
T字型物体に発生する現象 図6,7,8 このような状況は、図6に示すように、クリップの2つの部材T1とT2にY字型の補助部材(Y)を取り付けた状態で実現することができる。クリップの先端(作用点Aに相当)における摩擦力はクリップ部材間の力Rとは直角方向であり、Rの増減には与しない。先端に発生する力Rのかかり方を詳細に見ると、図7のようになる。つまり、クリップ部材T1と補助部材Y間、およびクリップ部材T2と補助部材Y間に働き、大きさはいずれもRである。力Rの大きさを求める方法。図8にしたがって、下記のように求められる。R=Fd/(L/cosθ) (>0)

補助部材の形状が異なる場合(図9~13参照)

補助部材の形状が異なる場合 図9,10,11 図5では、単純に力点Kに力Fをかける場合を仮定したが、図9では、力を与えるストリングが一旦作用点Aに引っかかってからT字型部材にそって力点Kに到達している場合を考える。つまり、力点Kに外力が加わるだけでなく、作用点Aにも力がかかるという場合である。すなわち、作用点Aも力点の一つとなる。力点Kにかかる力FがCゾーンに向かうのは明白であり、時計回りの回転に寄与することになる。一方、力点A(=作用点A)と支点Pの延長した直線c-c’を考えると、図10に示すように、Cゾーンはc-c’の下側、Uゾーンは上側となる。なぜなら、力点Aにおいて上向きの力は反時計回り、下向きの力は時計回りの回転をもたらすからである。ストリングの内部張力は全てFであるが、点Aにおいてストリングの方向が変化しているために、点Aからの角の二等分線方向に力Gが発生し、ストリングからT字型物体に及ぼされる。力Gの向きは、Uゾーンに向かっているために、反時計回りの回転に寄与する。したがって、力点Kにおける力Fによって作用点Aに発生する力Rと、力点Aにおける力Gによって作用点Aに発生する力Qを総合した押し付け力が発生し、この押し付け力は、R―Qである。このような状況は、図11に示すように、クリップの2つの部材T1とT2に補助部材(X1、X2)を取り付けた状態で実現することができる。
補助部材の形状が異なる場合 図12,13 先端に発生する力のかかり方を詳細に見ると、図12のようになる。つまり、押し付け力(R-Q)は、X1-X2間に発生する力であり、X1ーT1間およびX2-T2間では依然として同一の力Rが作用している。したがって、Y字型補助具でもX1X2型補助具でも押し付け力は全く同一であるといえる。力Rと力Qの大きさを求める方法。図13にしたがって、下記のように求められる。R=Fd/(L/cosθ) (>0) Q=G cos(θ/2)=2Fsin(θ/2)

総合評価

保持力実験データ

ここで論じた押し付け力は、初期状態としてばねの反発力で既に与えられている押し付け力とは独立に、付加的に発生するものであり、補助具は押し付け力を増加させる効果を持つ。

保持力試験

実験資材
  • 試験依頼先 : 公的機関
  • 試料名 : タヤクリップ、従来品クリップ
  • 試験項目 : 引張強度試験
  • 試験実地日 : 平成20年1月16日

試験方法

試料の中央部に、幅50mmの金属製の冶具を取り付け、試験装置に取り付ける。

クリップ部をキャップ端部より15mm内側にセットし、①ジーパン、②革パン、③ジーンズの切れ端をクリップに吊り下げ、試験装置台に固定して、300mm/minの速度で試料を引っ張り、クリップから外れたときの最大荷重値を記録する。

  • 試験装置 : 幅広試験機X2100 インテスコ製

試験結果

ジーパン実験データ(単位:N)
番号 タヤクリップ 通常クリップ
94 41
83 42
101 41
95 43
80 41
平均 91 42
革製パンツ実験データ(単位:N)
番号 タヤクリップ 通常クリップ
124 82
116 82
98 94
127 100
110 98
平均 115 91
ジーパン切れ端実験データ(単位:N)
番号 タヤクリップ 通常クリップ
141 57
137 56
154 53
130 52
151 52
平均 143 54

東京発明展にて「日本弁理士会会長奨励賞」を受賞

東京発明展

東京発明展 2007年10月25、26日、東京都立貿易センターにて行われた2007東京発明展では、新製品「タヤクリップ」を使用したボトムハンガーの普及宣伝を行いました。東京発明展とは身近な生活用品から産業機械に至るまで最近の発明・考案・意匠の作品を展示し、広く都民に紹介して新製品・新技術の普及とその実用化の促進をはかると共に、発明意欲の高揚、産業の振興に資するために開催している(社)発明協会東京支部主催の展示会です。今回の出展では、多くの方々に従来のクリップとの機能の違いを知っていただく事が出来、(社)発明協会東京支部審査員の方々からもタヤクリップの持つ汎用性の高い機能に評価をいただきまして日本弁理士会会長奨励賞を受賞することが出来ました。お忙しい中弊社の展示ブースにご来店いただいたお客様、ご協力いただきました(社)発明協会東京支部ご関係者の方々にこの場をお借りして心よりお礼申し上げます。

発明協会表彰式

タヤクリップメカニズム説明画像 11月25、26日に渡り開催された2007東京発明展の授賞式が11月14日に(社)発明協会東京支部にて行われ、弊社の企画・開発の武田が出席いたしました。式典は程よい緊張感に包まれた中で行われ、今回受賞された方々へ各後援の代表者より表彰状と盾が贈呈されました。受賞式も閉幕にさしかかった祝辞の中で、日本弁理士会の代表者の方から「タヤクリップ」が受賞の決め手となったお話をいただきました。「多目的な機能性と女性の立場から見た視点」がポイントとのことです。女性の立場から見た視点とは機能のみに偏らず、ハンガーのクリップのバネが弱くクリップの開閉が非常に楽にでき、実際にタヤクリップを使う人のことを考慮している点ですとの貴重なご意見をいただくことができました。受賞の効果もあり、現在、多くのお客様より反響のお問い合わせをいただいております。